ブライター・トゥモロー
  −原子力新時代の幕明け−
ピート・V・ドメニチ /藤家 洋一 監訳/石井保・出澤正人・村田貴司
[原書名:A BRIGHTER TOMORROW<Domenici, Pete V. ; Lyons, Blythe J. ; Steyn. Julian J.>]
(株)ERC出版(2005.3.25出版)
379p 21cm(A5)
ISBN4-900622-34-6 c0031 \1,900E
定価1,995円(本体1,900円)
原子力新時代幕開け 分かり易い表現駆使
1953年12月8日、アイゼンハワー米大統領は「アトムズ フォー ピース」を国連に訴える歴史的演説を行い、アメリカの崇高な意思を広く世界に発信した。
かくして、わずかその四年後の1957年12月ペンシルベニアのシッピングボードで米国初の商業用原子力発電所が運転を開始。ここに最初の原子力時代の幕が開けた。
本書は11章378頁の大作で、どの章から読んでも興味深い。
米国上院議員として1972年から32年間、米国のエネルギー政策をリードしてきたドメニチ議員が、「21世紀の先進国も途上国も、安定した生活水準の向上を図るためには原子力が不可欠」との強い信念を示し、ここに原子力新時代の幕開けの必要性と必然性を世に問うた書。特色は3つある。
第一は、現役の政治家として、政策実現に賭けてきたあくなき行動力。読者は、ドメニチ議員がその政治生命を、エネルギー関連の法案成立に賭け、アメリカのあるべきエネルギー政策を追求してきた政治家としてのすさまじい生き様をみることができるであろう。
第二は、分かりやすい表現。著者はかつて高校で教鞭をとっていたことがあるという。その目線は常に平均的高校生や一般市民に注がれており、とかく難解に陥りやすい原子力やエネルギーの用語や表現は精緻であり正確ではあるが、極めて親切に解説され、分かりやすい。
第三は、著者の崇高にして温かいその人間性が随所に滲み出ていること。イタリアからの米国移民二世として1932年ニューメキシコ州アルバカーキ生まれ。プロ野球二軍の投手を1年間したこともあるという。
著者は、米国の原子力政策を歴史的にていねいに振り返り、反省、批判も加えながら、核燃料サイクル、放射線の医療利用、水素エネルギーなど21世紀に備えるための処方箋を、リスクと便益を分かりやすく比較しつつ、見事な展望を示している。わが国の政治・経済・官学界、市民や学生など多様なひとたちに、ぜひ読んでいただきたい好著である。
前原子力委員会委員長藤家洋一博士監訳の翻訳陣も充実。この名著に花を添えている。
(参議院議員 加納 時男)
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