原子力の本当の話 

-利用より調和の原子力文明−            藤家洋一著
(株)産経新聞出版(2013.9.25出版)
277p 19cm(四六判)定価1,500円+税

    

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書評 

本書は福島第一原子力発電所の事故を乗り越えて、次への進路を示した技術文明論である。
これまで、原子力は電気を作る発電炉にのみ目がいっていたが、エネルギーの供給対応だけではなく、医療への展開や高レベルの放射性物質を消滅させる技術への展開など、エネルギー、物質、技術、情報を文明に提供できる総合科学技術であることが論じられている。
化学反応に根差した技術文明から、社会や環境との調和を保ち、それらと整合性を持ち合わせた核分裂
反応に根差した技術文明に移行するための道しるべを提供してくれる。
ヒロシマ、ナガサキでの原爆投下による被災や核実験のフォールアウトによる放射線被曝などを体験した日本人だけでなく世界の人々にとっても、福島第一原子力発電所の事故は、チェルノブイリ原発事故と並んで原子力の平和利用における最悪の事故とみなされ、外部に放出された放射能による影響を危惧して、原子力はもういらないとの思いを強くしている方々が多くおられるのも事実である中で、今後のリサイクル社会の構築を目指せるエネルギーシステムとして原子力の進むべき
道を示唆している内容には注目に値する点が多々あり、中学生、高校生を含め多くの方々に熟読されることを期待したい。

                                                       (浅井信雄)

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長く原子炉安全専門審査会を牽引し、TMI事故、チェルノブイリ事故の教訓から進歩に繋がる判断を重ねてきた著者の本当の話は重い。
原子力利用について安全の考え方だけでなく、見失いかけている核燃料サイクルについての正しい認識が再出発の起点である。
原子力委員会委員長時代に「原子力長計」策定に日本の英知を結集させた経験を基に原子力利用の全体像を、図解し、わかりやすく説明し直している。福島の復興に向けて、混迷から冷静な目を取り戻さなければならない現在、災いをもって福となすべく、政治家による正しい政策の策定とそれに対する社会からの支援が両輪となる。混乱の渦巻く情報の中から正しい判断を見出す拠り所として、原子力関係者のみならず広く社会の人びとの必読の書と言えよう。                                             (ausbach)

 

 


 
 
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