韓国デジョン市 KAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)

(韓国における科学技術研究の中心的役割を担う国立大学)記者会見 要旨

2011年4月19日(火) 9:00〜10:00

KAISTのChang Soon Heung教授による会議の概要報告に続き、次のような質疑応答が行われました。

質問:この会議を開いた動機は何ですか? 今度の事故に関し、日本は原子力発電所の安全をどう見ていますか?

回答:この会議は20年来お付き合いしている韓国の学者(ユン・イル・チャン教授=Chang Yoon Il)(米、アルゴンヌ国立研究所)、チャンクン・リー教授=Lee Chang Kun(元韓国原子力委員)、チャンスン・カン教授=Kang Chang-Sun(ソウル大学)など)の皆さんと原子力の将来を語る会議です。たまたま今回韓国での会議を予定していた時期に、福島原子力発電所の事故があったということで、それも採りあげたということです。

日本では決められた基準に沿って原子力発電所の安全審査を行っており、その基準通りに原子炉は機能を発揮しました。地震と同時に原子炉は自動停止し、非常電源により水循環ポンプも作動しました。問題はその後で襲ってきた津波です。高さ6メートルの津波に耐えられるようには設計されていましたが、高さ15mを超える津波が襲いました。

質問:チェルノブィルと比較するとどうですか?

回答:チェルノブィルとは全く異なります。まず第一に放射線障害で死者は出ていません。そして20km、30kmの退避もすぐに実施し、民衆が余分な放射線を受けることも回避しています。またチェルノブィルでは放射性物質が直ちに飛散しましたが、今度の日本場合は、事故処理をして放射能が拡散しないような対策を取っています。

質問:終息にはどれくらいかかりますか?

回答:終息とは何を意味するかによって異なります。

質問:今回の事故の発生原因は津波以外にも何かあるのではないですか? それがあれば日本の今回の事故を教訓としたい。欧州では原子力はもう止めようという傾向があるようですが。

回答:今回の事故原因は津波がすべてです。重要な機器は耐震設計の強度を3倍にしてあるので想定のM8.0を超えるM9.0の地震でしたが、地震に対しては耐え、原子炉は安全に停止し、崩壊熱除去が始まりました。津波対策もしていましたが、6mの想定に対し、高さ15mを越える津波が襲いました。地震後50分に来た津波がなければ事故にはなりませんでした。ただ事故が起こった時の対応として、アクシデント・マネージメントが十分でなかったことは確かです。欧州については、事故直後にドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙から問い合わせがあり、事故後の退避の状況など詳しく述べ、急性放射線障害による死者はゼロであろうということも併せて話しましたが、この内容は紙面に掲載されました。今度の事故で改めて考えなければならないのは、われわれの文明を支えているものは何か、ということです。これからのエネルギー源は資源の確保と環境保全を同時に達成できるものでなくてはなりません。「化学反応の文明」から「核反応の文明」へと移行する社会をどうしたらつくれるのか、ということが重要です。

質問:福島原子力発電所は古いから問題が生じたのではないですか?寿命延長した韓国の古里1号も今度事故で停止しました。

回答:福島の場合は津波が全てです。原子炉は古いものであっても、部品を交換するなどして、常に安全に維持されています。古いか新しいかということは関係ありません。

質問:放射線被害で死んだ人はいないという話ですが、長期にわたっても被害がないと言えるのですか?日本は原子炉の寿命を延長して使うのですか?

回答:長期にわたっても甲状腺がんの多発のような事態は無いと言えるでしょう。使えるべきものは、寿命延長して使い、その安全については十分審査しています。

質問:日本から韓国への情報公開は十分だと思いますか?新聞によると、米国には情報を伝えていますが、韓国には伝えていないと書いてあります。

回答:私たちは近隣のアジアの諸国と連帯を図ることが最も大事だと認識しています。そのために私たちはこの時期にあっても、ここに来ました。新聞には不安を抱かせるような書き方をしているものもありますので、新聞だけ見て判断すると間違うこともあります。