―自然に学び、自然を真似る―

 

 

設立趣旨書

趣旨

 

 人類は、落雷や山火事の恐怖を克服し、自然の火を制御し始め、光と熱を火からえて、大河のほとりで定住生活に入り、狩猟から牧畜へ、採取から農耕へと転換し古代オリエント時代に至る数100万年の長い歴史は、「化学反応に根差す文明」の出発点と黎明期であった。


 物質循環の可能性を持った生態圏のエネルギー利用は、薪から地下の化石エネルギーへと進み、 18世紀後半に英国で始まった産業革命は、人類が石炭や石油などの化石燃料を使いこなす「化学反応に根ざす文明」として急速に発展した。その後化石燃料はエネルギー資源だけでなく、化学繊維、医薬品、肥料、農業、鉱工業など現代社会のほとんどの分野で、化学反応の作り出した科学技術として応用され、利用されてきた。

 産業革命に際して可能となった蒸気機関による機械エネルギーの獲得、電気エネルギーの利用を可能にし、一挙にエネルギー利用の拡大を見、快適な生活をもたらしたが、これは生態圏の物質循環を否定し、炭酸ガスの大量放出による地球温暖化の危険につながり、将来のエネルギー源に対する危機感を与えることになった。

 一方19世紀末のレントゲンによるX線の発見、20世紀に入ってからの核分裂現象の発見などは大きな文明の転換へと誘う契機となった。20世紀後半になると、人類は巨大なエネルギーを放出する核分裂反応や、放射線を利用する手段を手に入れ、エネルギー資源争奪戦争の時代を終え、「平和のための原子力」を決意した。これは「核反応に根ざす文明」の出発点とでも言えよう。そのエネルギー源としての活用が原子力発電であり、放射性同位元素や加速器などで発生する放射線は、物質解明、化学、医療などで新しい分野を開きつつある。

 しかしながら、軽水炉による原子力発電がすでに基幹電源としての位置を確保し、放射線利用も社会に深く浸透しつつある現段階にあっても、まだ社会はこれを正当に理解し、評価するには至っていない。文明社会がクリーンエネルギーを必要とする中で、原子力は莫大なエネルギーを生み出すとともに、潜在的に「ゼロエミッション」の世界を実現できる可能性を秘めている。この核反応あるいは核エネルギーの本質を、専門家をはじめ一般の人々が理解していくことが、大きな文明の転換点を迎えつつある現在、特に必要とされている。

 本NPOは国内国際両面において核反応あるいは核エネルギーの本質に対する理解活動を促進するとともに、これに根ざした社会を構築することを目的として、以下の情報活動ならびに事業を企画・運営するものとする。

 

     ●核反応に根ざした文明社会の形成に資する国際的なコミュニティーの構築

     ●文明の進展に即して原子力の本質を包括的に議論し、理解する場の提供

     (定例勉強会、講演会、シンポジウムなどの開催)

     ●著作を通しての原子力広報活動(単行本、雑誌、対談、他)

     ●会員への情報提供サービス

     ●その他目的を達成するために必要な事業

 

申請に至るまでの経緯

 藤家洋一は原子力委員長退任後も、前原子力委員長として「Nuclear Salon Fujiie」を主宰し、原子力の本質につき正しい理解を促進するための活動を続け、月例勉強会や講演会活動、著作活動、韓国、カザフスタン、他のアジア諸国、米国、ロシア、フランス、ドイツなどの諸外国との国際交流活動などを積極的に実施し、実績を残してきた。

 今般、特定非営利活動促進法に基づく法人格を取得することにより現在の活動基盤をさらに充実させるため、法人化問題に関する本格的な検討に着手した。NPOの申請に向け、定款や事業計画等の準備を開始し、2010年1月には設立準備委員会を発足させるとともに、特定非営利活動法人「ニュークリア・サロン」の設立を決議、これまでの活動実績をもとに、今次の申請に至ったものである。

平成22年5月6日

特定非営利活動法人 ニュークリア・サロン

設立代表者氏名 藤家 洋一